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理系進学と読書の相関関係。 [日記]

学校ではとにかく読書は推奨されます。確かに、読書は知的作業であるし、思考力が鍛えられます。知識を得ることもできます。しかし、読書は、それらの唯一の手段でないことも確かです。

僕は技術研究所に勤務しています。ですから、周りには圧倒的に理系出身者が多い。そして、僕の知る限り、彼らの多くは本を読みません。テキスト、参考書、マニュアルの類は情報を得るために読むのでしょうが、読書を好みません。

外資系のわが社は日本での業績は大したことはありませんが、会社のリクルートがうまいのか、就職難からなのか、技術系研究員の出身校は、国立の旧一期校と私立のトップクラスの大学に集中しています。地方出身者は、地元の地域の一番校、もしくはそれに順ずる高校で学び、国立大学に進学しています。地元のエリートです。そして、読書をしない。

それでも彼らの学業は優秀で、大学受験には成功しているのです。彼らを見る限り、理工系の大学進学と読書の相関関係はとても希薄に見えます。

昼食時などに、彼らに本の話題を持ち出しても乗ってこない。一度、少し前に話題になった「生物と無生物の間」の話しをしました。内容は理系本であるし、これくらいは誰か読んでいるだろうと考えたのです。

しかし、誰も読んでいませんでした。「エピローグがすばらしい。本当に美しい文章だから、エピローグだけ読んでも損はないよ」と薦めてみたら予期せぬ反応がありました。「美しい文章って何?」と質問されたのです。一緒に昼食をとっていた理工系出身者4,5人全員が、文章を読んで「美しい」と感じた。経験がないというのです。彼らにとって文章は、事実を伝えるメディア以外の何者でもないのでしょう。

ある30代の研究員は、小学校時代の図書体験を話してくれました。当時の担任が、学校の図書室から何冊借りられるかを彼のクラスの児童に競争させましたす。彼は先生の指示に“素直”従い、毎日貸し出し限度の冊数を借り続け、その競争で独走しました。しかし、借りた本をは一行も読まず、本の貸し借りだけを繰り返していたのです。担任の先生はそのことを知り、彼をひどく叱ったのだそうです。

文系の僕からすれば、先生が注意したくなるのも無理はないと思います。しかし、彼に言わせれば、「先生は本を読めとは言わなかった。だから、なせ怒られたのか僕には全く理解できなかった」ということになります。理工系出身者らしい話です。文系の僕たちが抱く、書物に対する畏敬の念を彼らはあまり持ち合わせていない。

しかし、これは彼らが知的作業をしないということではありません。彼らは、本に代わるもの、例えば数式や公式で、数学や物理を思索し、知力を高めていったのでしょう。大事なことは、知的好奇心を持ち、考えることです。その媒体は必ずしも本ではなくてもよいのです。

読書は大切ですが、読書をしないことは必ずしも進学で不利になるということはないようです、特に理工系では。ですから、うちの息子もあまり本を読みませんが、この点については寛大でいようと勤めています。いつか自ら進んで本を手にしてくれることを信じて。無理強いした読書から得られるものは何もありませんからね。



生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

  • 作者: 福岡 伸一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/05/18
  • メディア: 新書






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